Release:21.07.16
図書カフェ by白州山の水農
~香り高き表現者~
〇月×日
私が駆け出しの雑誌編集者だったころは、ちょうどカフェブームの絶頂期。
セレクトショップのカフェやギャラリーカフェ、ブックカフェなど、単に“コーヒー屋さん”ではない、角度のあるカフェが次々とオープンしていた。
そんなカフェの存在が、私を“大人”にしてくれた気がする。
社会人になってコーヒーが飲めるようになり、
“おひとり様”に慣れ、誰かと群れなくても不安じゃなくなった。
できないことを恐れるのではなく、
できない自分を知り、1歩先を目指せるタフな心を手に入れた。
たくさんの人やお店、モノ、コトと出会い、
まわりを気にせず、好きなものは好きと表現する勇気を持った。
あれから数十年…。
私は今も変わらずブックカフェにいる。
山梨県立図書館の中にある図書カフェ by白州山の水農場。
ここは、図書館の中にある…というだけじゃない、すっごく角度のあるカフェ。
営むのは、白州の山間の小さな美しい農村で、四季折々のきのこを育てている農家さん。
「図書館は知の宝庫。暇さえあれば2階のきのこコーナーや地下書庫で菌のこと・成分のこと・料理のことなど、知りたいことを吸収できる!」という。
図書館×きのこ=??
それぞれの表現者たちが生み出す化学反応にワクワクしながら、メニューを。
ページを開くと、旬の自家栽培茸を使ったメニューがズラ~リ!
目に留まったのは、セットA<図書カフェドッグと日替わりきのこのスープ>。
こちらをオーダーすることに。
通りを見渡せる窓際のソファ席にもたれかかる。
慌ただしい日常の中で落ち着きを取り戻す、ほんのわずかなとき。
今も昔も、私を一瞬にしてはるか遠くへといざなう、旅する時間。
厚切りトーストに挟んであるのは、酸味の効いたポメリーマスタードをたっぷり塗った農場きくらげ入りソーセージ!
プリッとした食感も楽しく、自家製きのこオイルが染み込んだトーストと頬張る。
付け合わせには、ドライきのこの可能性を最大限に引き出した、真っ黒なスープが!!
ヒラタケ、なめこ、椎茸、タモギダケを乾燥させて出汁に使ったスープは、ひと口で香りが立ち、味わいがグッと深まる。
食後にはケーキセットを。
コーヒーは…と、ナントこちらもキノコ!!
美容や健康にも名高い霊芝とグァテマラのきのこブレンドをフレンチプレスでいただく。
キノコ感はほとんどなく、程よい苦みとフルーティな酸味でとっても飲みやすい♪
本日のデザートは、昔ながらのかためプディングケーキ。
ビターなキャラメルがどこか懐かしい味わい。
「食べることも生きることも、好奇心・探究心があればもっともっと楽しくなる!」
これが、図書カフェ by白州山の水農場のモットー。
香り高き表現者たち…。
私は今、どんな表現者になれているだろうか。
-甲府市
料理と器とワインをこよなく愛するママ編集者。
性格がおおざっぱなため、お菓子作りは失敗しがち。
最近は酵母菌を我が子のように可愛がっているらしい。