Release:21.07.02
お気に入りのワンピースを着て
古名屋ホテル The Silk
〇月×日
ホテルのラウンジでちょっと過ごす…。
これぞ大人のひとり時間という気がして、社会人になって3年目くらいの頃、当時都内で働いていた私は都内某ホテルのラウンジに行った。
素敵な場所に行くんだからと、買ったばかりのSNIDELのワンピースをチョイス。
ウエストのきゅっとしたラインがお気に入りで、ヒールを履けば一気に大人のお姉さんになれた気がして嬉しかった。
到着してまず、どこに座っていいかわからない。
メニューを見れば「え?これ1杯の値段?」と驚いたのを覚えている。
そんな初々しい時代から数年、私も幾分か年を重ねさまざまなおひとり様を経験した。
カフェはもちろん、牛丼、焼肉、温泉…。
我ながら、なかなかの度胸はついたと思う。
そして今日、あの頃よりも少しこなれた気持ちでラウンジを利用する。
訪れたのは古名屋ホテルのラウンジThe Silk。
友人の結婚式で何度か訪れたことはあっても、ラウンジだけで利用するのは初めて。
ほんのり薄暗い明かりが心地よい。
今日は、ゆったりとしたシルエットが気に入っている白いシャツワンピースに、ぺたんこの黒パンプス。
こちらは最近のお気に入りスタイルで、服の好みもここ数年でずいぶん変わったと思う。
もうお姉さんの気分を味合わなくても、十分お姉さんになったから、背伸びしないナチュラルなスタイルが多い。
中に進むと、奥には生け垣が美しい中庭が。
開放的な大きな窓から午後の光が差して、市内の中心にいることを忘れさせてくれるような緑に圧倒される。
この光と緑を堪能できる、窓際の席は人気のよう。
景色を楽しんでいると、ウエイトレスからメニューを差し出される。
今日の目当てはもちろん和三郎のケーキセット。
和三郎のスイーツは洗練されたデザインと奥行きのある味わいが楽しめて、大好き!
ケーキを待っている間に、私のラウンジエピソードを。
数年前、ホテルのアフタヌーンティーセットが流行っていた頃、黒執事大好きな私は当然興味津々。
でも都内に友だちはいない。
ここは一つ、おひとり様をしてしまうか!
意気揚々とやってきたはいいが、早速戸惑う。
メニューを渡されて金額を見れば、え?ココアが1杯1,750円!!
私にはまだ早かったよ…セバスチャン…。
軽く白目になりながら、せめて一番安い紅茶(それでも1,650円)を注文。
結局アフタヌーンティーセットなんて頼めるはずもなく(しかもやっているフロアも違った)せめて美味しいものを食べて帰りたい!と思って、お気に入りのラーメン屋さん「むぎとオリーブ」の鶏SOBAをすすって帰宅。
SNIDELのワンピースにはスープが飛び、ウエストは苦しく散々だった。
苦い思い出に浸っていたら、紅茶が到着。
ケーキのときはいつもストレートで飲むけど、今日は酸味のあるケーキを選んだからまろやかなミルクティーに。
本日のケーキはミニョンヌ。
南アルプス市産のソルダムをムースにし、中にはアメリカンチェリーのコンポートを入れた初夏を感じる仕上がりに。
ミニョンヌはフランス語で、かわいいという意味。
中には濃厚なコンポートが。
ソルダムのムースを舌で溶かすと、しっとりとしたチェリーが口の中に広がる。
甘酸っぱくて、上品な香りがたまらない。
調子に乗って、ケーキをもう一つ注文した。
さわやかな色味と香りが特徴のクレームショコラミント。
表面の薄水色に水がしたっているようなデコレーションが夏の暑さを忘れさせてくれそう。
でも本当にお見せしたいのは、このミントの下。
濃厚なチョコレートプリン!
ツヤツヤしっとりなめらかとろけるプリン!
でも想像とは裏腹に、甘さは控えめ。
口に入れるとカカオの味わいが広がり、後からミントの香りが鼻を抜ける。
これは夏にぴったりのケーキ。
初めてのホテルラウンジは散々だったけど、あれから年を重ねて、ワンピースのシルエットはゆったりし(ワンピースだけ!)ヒールも随分低くなって、肩の力を抜きながら、おひとり様の時間を過ごせるようになった。
それを実感できたのも、某ホテルに行ったおかげだろうか。
次に都内に行くことがあったら、こなれた気持ちでホテルのラウンジ…
よりも「むぎとオリーブ」の行列に一人で並んでいそう。
本日食べたメニュー
・ケーキセット
(ケーキ1種類、ドリンク)
…1,200円
※全て税込
※「パティスリー和三郎」閉店により、2022年現在はケーキの販売は終了
コーヒーが飲めないサブカル女。
寂しくおひとり様カフェが多いらしいが、たまにキラキラ女子会でリア充を決め込む。
料理はできないくせに、味にはめっぽううるさい。