河口浅間神社参道にひっそりと佇み、2022年から月1日だけオープンしていた自家焙煎珈琲店「長崎珈琲」がこの春4月11日にグランドオープンした。

古民家調の純日本的な内装にDIYし、アンティーク調の家具を配した店内は、しっくりと土地に馴染み、ゆったり落ち着ける空間に仕上がっている。
とても居心地がいいと外国人観光客にも評判なんだとか。

店主の長崎雄一郎さんが選び抜いた豆は、産地や農園、さらには収穫後の発酵・水洗・乾燥工程など管理の違いまでを熟知し、自らが豆のポテンシャルを引き出す焙煎を担う。
常時浅煎りから深煎り、デカフェまで数種類揃っているのもすごい。

「誰でもふらっと入って、自分の好きな味が見つかる…そんなできるだけ敷居の低い店にしたくて」と長崎さん。
酸味が苦手でいつも深煎りを選ぶ私に「浅煎り、深煎りといっても様々なので、香りを確かめながら、好みのものを探してみてください」と長崎さんが声をかけてくれた。

いつものテイストは、エチオピアの深煎り、イルガチェフェ コチャレ。
本日は、同じ国の同じエリアの浅煎り「エチオピア イルガチェフェ チェルベサ」と飲み比べすることに。

それぞれに合う焼き菓子もペアリング。
長野県松本市のお菓子屋さん「kashi ichi」のヴィジタンティーヌには深煎り、ウィークエンドシトロンには浅煎り…とマリアージュを楽しんでみよう。

まず深煎り。苦みとコクのバランスがよく、華やかな香りで、後味に甘みを感じる豊かな味わい。うんうん、いつもの大好きなやつ～。

ヴィジタンティーヌの焦がしバターの贅沢な風味とねっちりとした食感、口の中に残る甘さが深煎りの1杯と抜群に合う！

どんな珈琲にもぴったりはまると、長崎さんのイチオシはこちら、ガレットブルトンヌ。風味豊かなバターの塩味と甘さの最強バランスで、ざくっほろっとした食感がまたたまらないのだ。

そして、次は浅煎りをひと口…。
ええええええ!!!!!なんて美味しいの!!もしかして、私、浅煎りが好きだったかも!?と衝撃的な事実と出会ってしまった。
爽やかなレモンのような酸味が全然嫌じゃない…、いやむしろ好き。
浅煎りといっても、少し火入れしているために酸味がまるく、軽やかなんだとか。

香りに甘みもあり、それがウィークエンドシトロンの美しいグラスアローのコーティングの甘酸っぱさとベストマッチ！これはもう最高のブレイクタイムだ。
ひと口に浅煎り、といっても様々な味わいの違いがあり、その酸味の方向性もいろいろ。柑橘系のまろやかな酸味や、ライチやピーチのような華やかな酸味など…。

それが深煎りと浅煎りとなればその違いは歴然。味わいはもちろん、香りも見た目も全くの別物だ。
なんてコーヒーの世界は奥深いんだろう。

長崎さんの淹れてくれた1杯の珈琲から発見できた、新たなる自分の嗜好。
思い込みから解放され、新たな世界が広がった瞬間。

長崎珈琲で自分好みのコーヒーとの出会いを楽しんでみては。