久保田一竹美術館
~壮大な物語を旅する~
〇月×日
どこか遠くにいかずして、非日常を味わう…これほど贅沢なことってないなぁと思う。
もちろん、旅行に行ければそれに越したことはないけれど、そうそう簡単じゃない。
時間もお金もかかるし、何より思いたってすぐ…というわけにいかない。
そんな時、私は美術館へ行く。
美術館の中にあるカフェで、アートな余韻に浸りながらその世界観の中を漂う。
時間を忘れ、現実と空想の間を行ったり来たりしながら、誰にも邪魔されない静かなる時空を旅するのだ。
私が春夏秋冬、愛してやまないカフェは、河口湖の久保田一竹美術館の中に…。
偉大なる建築家ガウディをリスペクトした、曲線を描いた異国情緒あふれる白亜の佇まい。
白サンゴが堆積して石灰化した琉球石灰岩を積み重ねた新館の2階に、そのカフェはある。
テラス席もあり、眺望が最高!
天気がいい日には目の前に富士山を望みながら、コーヒーブレイクできる。
よりによって、こんな寒い時期に…と思うかもしれない。
でも夏より冬のほうが凛とした美しさがあって、凍てつくような張り詰めた空気にも透明感を感じて、ずっとずっといい。
店内は常時、蜻蛉玉などの一竹の貴重なコレクションが並ぶ。
ここの看板メニューは添加物を一切使用していないという「もう一度食べたくなるティラミス」。
こんなところにも蜻蛉玉が!
なんて小粋な演出なんでしょう。こちらはお持ち帰りOK。
季節ごとに変わるティラミスは、今の時期は私の大好きないちご♪
青森のひかり農園の紅ほっぺが贅沢にトッピングされ、マスカルポーネと生クリーム、エスプレッソの華麗なる競演が舌の上で繰り広げられる。
コーヒーにビスケットを浸していないのでさっぱりとした味わいで、カフェオレとの相性も抜群。
ドリンクは500円で様々な種類を飲むことができるから、時間を忘れてゆるりと過ごす。
ギャラリーを眺めながら、一竹の愛した“歴史を秘めた小さなガラスの中の小宇宙”に、思いを馳せる。
美しい着物が展示された本館の一角には、茶房「一竹庵」が。
母親の胎内をイメージした丸みを帯びた神秘的な空間には、彼が生前集めたアフリカやインドの調度品が並び、目の前には野の山を背負った美しい庭園が広がる。
正面に「龍門の滝」が流れ、座ると目線と同じ高さになるように計算された特等席。
お抹茶やお菓子をいただけるこの茶房は、見学だけでもOK。
でもせっかくなので、お抹茶をいただくことに。お薄で飲みやすい抹茶と甘味に癒される。
建築とお庭と芸術を満喫できるミュージアムカフェ。
壮大な歴史のロマンに心遊ぶ旅がここに…。
※別途入館料が必要。
-富士河口湖町
料理と器とワインをこよなく愛するママ編集者。
性格がおおざっぱなため、お菓子作りは失敗しがち。
最近は酵母菌を我が子のように可愛がっているらしい。