OSTERIA DRAMMATICO
オステリア
ドラマティコ
[富士河口湖町/イタリアン]
河口湖の森の中、町民プールと体育館の裏手。一見レストランとは気づかないコンクリートの外壁に小さな木の扉がひとつ。
知らなければ、なかなかたどり着かないであろう正真正銘の隠れ家レストランだ。
美食を求めるゲストの欲求を満たす料理は、八ヶ岳の有機野菜が彩るイタリアン。豊かな経験と新たな心意気が織りなす、独創性溢れる絶品が待っている。
美意識の高いクールなダイニングを思わせる扉を開けると、中は靴を脱いで上がるスタイル。まるでおしゃれな友人宅へ招かれたよう。
天井が高く、居心地のよさを追求したこだわりの空間は、ゆとりあるリビングの趣を湛える。店内は八ヶ岳のお花屋さんが毎月アレンジするドライフラワーやグリーンに彩られ、落ち着いた木のテーブルと椅子がゆったりとした間隔で配される。
低い位置にある窓からのぞく緑、スポットライトを浴びた食卓。ドラマティックな非日常のひと時が幕を開ける。
大地と自然の恵み溢れる力強い料理
料理を一手に担うのは、オーナーシェフの山城千春さん。女性らしい視点で生み出す繊細で美しいひと皿は、噂に違わぬ絶品揃い。
手間と経験とアイデアが結集したクリエイティブなモダンイタリアンが堪能できる。
こちらのコースの特筆すべきは、前菜が盛り合わせではなく、ひと皿ずつ3種類も楽しめること。
取材日の前菜1品目はスープ。
2品目はサラダ仕立ての旬の鮮魚のカルパッチョ。
3品目は白身魚のカダイフ包み。
3皿の前菜は、味はもちろん盛り付けも美しく、次のひと皿に期待が膨らみ、高揚感が高まっていくのを実感することだろう。
その日の仕入れによって、八ヶ岳の契約農家から直送される新鮮な無農薬野菜を10種類ほど使ったカルパッチョは、プリっと歯ごたえのあるタイの淡白な味わいでさっぱりと。
極細のパスタを巻いて焼き上げたスズキは、周りはパリッと、中のスズキはふっくらと仕上がり、魚にはない食感を楽しめる。あさりの出汁のサフランとサクラエビのクリームソースが濃厚が何とも贅沢。
パスタは山城さんが注力するこだわりのひと品。
白身魚と菜の花のラグーは、トマトを丁寧にじっくり煮込んだシンプルな味わいが好印象で、タリオリーニの平打ち麺にソースがよく絡む。
味わうだけでなく、そっと大葉の花があしらわれていたり、洗練された器使いなど、見ているだけで顔がほころぶほどの楽しさに溢れる。
お肉をカットするためのナイフは、スペシャルなテーブルナイフを用意。
フランスで長く愛され続けるラギオールナイフの中から好きなカラーを選ばせてくれる演出が、また楽しさを倍増!
まさにここは、大人がくつろぎ、大人がワクワク胸を高鳴らせることができる非日常を提供し続けてくれる場所だ。
最後にコースを華やかに飾るデザートは、専属パティシエールの中沢さんが手掛ける2品。
最初は、繊細で美しいグラスデザートから。
瀬戸内レモンのソルベとピンクグレープフルーツのかき氷が、赤と黒のコントラストが艶やかなグラスに盛り付けられ登場。
口に運んだ瞬間に思わずほおが緩む。スプマンテのジュレも入って、爽やかさの中にほんのりお酒が香る、ほろ酔い気分がまたこの上なくいい。
2品目は定番のデザート。
記念日にはメッセージプレートにしてくれる。
ふわっととろける絶品チーズケーキに、しっとり濃厚な口どけのショコラ。どちらも甲乙つけがたい美味しさ。うっとりするような魅惑のデザートに、すっかり心奪われてしまいそう。
※コース内容は季節ごとに変更。掲載内容は5月のメニューより。
取材を終えて…
美術館のようなスマートでモダンな外観に、洗練された空間、五感がふるえる美食。これだけでもゲストは再訪を心に誓うだろう。
でもさらに感動的なのが、約3時間座り続けていてもちっとも疲れないこと。座り心地のいい北欧の椅子を日本人に合わせて背もたれの距離などを変えて特注したという。
上質なくつろぎを与えてくれる大人の隠れ家でドラマティックな時間を。