Release:21.02.21
スマホの子供への影響~どう使う?子育て中のポイント【医師監修】
電話はもちろん、写真や動画など様々なコンテンツが楽しめる便利なスマートフォン。でもその一方で、「スマホは子どもに悪影響」なんて声も。
そこで、『視力』『姿勢』『心理』の3人の先生に、スマホを扱う注意点と上手な付き合い方を聞いてきました!
携帯電話と子どもの付き合い方に悩んでいます。電磁波はまだ未熟な子どもの脳に悪い影響を与えるのではないか心配で…。我が家はなるべく遠ざけていますが、スマホが子どもにどのような影響を与えるのか知りたいです。(ちーころ)
目次
スマホの影響とドクターからのアドバイス
スマホを使用する際の注意点
- できるだけ目からの距離を作る
- 画面を見る時間を短く、明るい場所で
- 椅子に座って、下を向きすぎない、こまめにストレッチを
- ひとりで触らせず、親子で楽しむ
- 幼児期は親の主導で管理する
- 親自身がスマホに気をとられないよう心掛ける
正しい姿勢と20-20-20ルール
20-20-20ルールとは、アメリカの20分間近くを見たら20秒間20フィート(約6m)離れた場所を見ましょう、というルール。
日本でもゲームや動画など画面を見るのは1日トータル60分(未就学児では30分)程度が好ましいと言われているそう。
時間感覚がある年齢であればアラームなどを使って時間管理できると◎。
また、長時間同じ姿勢でいると、それだけ筋肉に負担がかかる。20~30分に1回の目安でストレッチをするのがベスト。
なるべくテレビなどにつないで、難しいときは正しい姿勢と20-20-20-20ルールを意識して、上手にスマホと付き合いたいですね。
場所や時間は限定的に
親の主導で管理
くずるからという理由で時間をのばすと、子どもはますます切り替えが難しくなるもの。
子どもが見たがるペースで見せるのではなく、「このお話が終わるまでね」など予告し、その言葉を親自身も守り、時間を区切って。
ひとりで触らせる機会を減らす
児童精神科の観点からは、幼児期では子どもがひとりでスマホを触る時間が長いと心配だそう。
親子で一緒に映像や音楽を楽しむならいいけれど、実際は親子が離れて、または一緒にいても別のものを見ながら子どもひとりで操作する場面が多いもの。
特に2歳ごろまでは「直接的な人とのやり取り」を通じて、言語のコミュニケーションの土台をつくる重要な時期。
親自身が授乳中や子どもとの会話、遊びの間にスマホに気をとられないよう、心がけよう。子どもが「自分が大切にされている感覚」を持てるよう、親子の見つめ合いの時間を大切に。
最後に、誤った使い方や長時間の使用は子どもにどんな影響があるか、アドバイスなどもそれぞれの先生に教えていただきました!
スマホの影響とドクターからのアドバイス
【視力編】
眼鏡が必要な子どもは、年々低年齢化しています。
近視の度が強くなると眼鏡が必要になるだけではなく、将来、緑内障や網膜剥離などの目の病気のリスクとなるので、現在、研究が進められています。
これまでにわかっている近視の原因
- 遺伝
- 長時間近くを見る
- 明るい光・太陽光を浴びない
実際には1日中暗い部屋でゲームをしていても目がよい人もいれば、真黒に日焼けしていても近視が強い人もいるので絶対に相関するというわけではないですが、近くを見る時間の長さは近視のひとつのリスクだと考えられています。
私たちの生活の中には、テレビ、本、パソコン、タブレット端末、ゲーム機、スマートフォンなど、近くを見るものにあふれています。
その中でスマートフォンは軽くて操作性がよい反面、画面が小さいので『目に近い距離で視線を動かさず見る』という特徴があります。
また、画面が明るく暗い環境でも見ることもできるので、テレビや本よりもずっと近視のリスクが高くなります。
近視のリスクだけではなく、一部の人にスマートフォンや携帯型ゲーム機の長時間の使用後の内斜視という問題が2015年頃から報告されています。
この内斜視は、最終的に手術が必要な状態になってしまうことも。
医師からのアドバイス
子育てをしていると、どうしてもスマートフォンに子どもを預けたくなる時があります。
特に、コロナ禍でお家時間が長く親も子もストレスがたまりやすくなっている今、スマートフォンに頼りたくなる機会が増えている、あるいはスマートフォンがなければ家事ができないこともあるかと思います。
こんな時はスマートフォンの助けを借りてもいいのではないでしょうか。
ただ、子どもが熱中するからと言ってスマートフォンに子どもを預けっぱなしにせず、親・子ともにリフレッシュできたら、あるいは家事が片ついたら、一旦スマートフォンから離れましょう。
特に成長期にある子どもの目は視機能も未熟で、大人と同じ条件で画面を見ていても、大人よりも大きな影響を受けてしまうことがわかっています。
「子どもの目のために」と小さい子どもだけに時間や距離などの使用制限をかけても、なかなかうまくいきません。
両親、年齢の大きい兄弟も一緒に、家族全体でスマートフォンとの付き合い方を考えていっていただきたいと思います。
\ 教えてくれた先生の病院はこちら /
- いとう眼科クリニック
院長 伊藤 里美 先生 - 山梨県甲斐市大下条1600-8
- 055-277-8600
白内障や緑内障などの一般的な眼科診療のほか、小児の目の病気の早期発見・治療にも力を入れるクリニック。
院内には待合に親子優先席があったり、キッズスペースや子ども用便座があるトイレがあったりと、子連れ向け設備が充実。
スマホの影響とドクターからのアドバイス
【姿勢編】
スマホに限らず、テレビの視聴やゲーム機などに夢中になり、長時間、首や肩に負担がかかった姿勢でいると、肩こりや腰痛、頭痛など、様々な不調をきたすことがあります。
最近ではコロナでおうち時間が増えたことも影響しているのか、こういった相談が増えてきているように感じます。
ここ数年、子どもの運動量が減り、それに伴い筋肉量も低下しています。
筋肉量が低下すると免疫力の低下にもつながり、風邪をひきやすくなったり、けがをしやすくなったりと生活への影響も懸念されます。
スマホやゲームなどを利用する際は、上記したような注意点に留意しましょう。
また運動習慣は親の影響を大きく受けるので、家族みんなで運動する習慣をつけることをおすすめします。
医師からのアドバイス
最近のスマホは娯楽だけでなく、授業を受けたり、健康管理をしたりと本当に生活の一部になっています。
だからこそ、小さいうちから正しい使い方を身に着けておく必要があります。姿勢や体への影響は違和感や痛みが出て初めて気づくもの。
その原因を習慣的に行っていたら、治してもまたぶり返します。スマホを見るときのルールをしっかりと教えて、間違った習慣にならないように見てあげてください。
\ 教えてくれた先生の病院はこちら /
- 今井整形外科
院長 今井 大助 先生 - 山梨県甲府市上阿原町1151
- 055-232-7411
整形外科、リハビリテーション科、スポーツクリニック、メディカルフィットネスの診療科目があり、地域の方から遠方の方まで、多くの方が利用する。特にスポーツ整形外科に関しては、整形外科的見地からのメディカルチェックに基づいて手術を含め、運動療法・リハビリ療法など総合的に行っている。
基本情報を見るスマホの影響とドクターからのアドバイス
【心理編】
「スマホ依存」という言葉はよく知られていますが、最近の乳幼児の母親を対象とした国内の調査で、1歳児ですでに約10%にスマホ依存の傾向がみられるとの結果も。
意欲や創造性、実行力などに関わり、脳の司令塔といわれる「前頭前野」は、スマートフォンやテレビ、ゲームなどの使用中に血流が低下するとの報告もあります。
今後様々な研究結果が出てくるでしょうが、いずれにせよ長時間の使用による影響は考えておくべきでしょう。
子どもが必要以上にスマホを見たがったり、勝手にロックを解除するときは、親が子どもの前で使う機会が多いサインかも…。
乳幼児期には、アイコンタクトや日々のお世話を通じて、人や世界に対する信頼感や安心感が育ちます。
同じものを眺め「きれいだね」「気持ちいいね」など、感覚や気持ちを共有する体験、五感を使った自由な遊びによって、共感性や想像力を身につけます。
子どものスマホ使用を考える際に、「子どもがスマホ以外の体験ができているか(親子の触れ合いの時間、五感を使う自由な遊びなど)」に加えて、「親自身がスマホ以外の楽しみやストレス発散法を持ち、まわりからの育児サポートが得られているか」を考える必要があるかと思います。
医師からのアドバイス
コロナ禍の中でスマホは「人々が安全に繋がる手段」となり、孤独を和らげてくれることも確か。
公共の場で赤ちゃんが泣き止まず、いたたまれない気持ちになるとき、ひとりで家事をこなしどうしても構ってあげられなとき、スマホのおかげでイライラを子どもに向けずに済むとすれば、スマホは親と子供の味方ともいえるでしょう。
お母さんが「スマホに頼りすぎかも」と自分を責めて不安になった時は、「明日はその分遊んであげよう!」と切り替えて、ご自分にも何か小さなご褒美を考えてみてください。
子どものスマートフォン使用は、親だけでなく社会全体で取り組むべき課題だと思います。
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- クリニックまつおか
院長 松岡 祐加 先生 - 山梨県甲府市川田町933-18-1F
- 055-244-3054
乳幼児から児童・思春期を中心とした子どものためのメンタルクリニック。臨床心理士、小児科医、児童精神科医の経験を持つ先生が、子どもの言葉にならない心のケアをサポートするとともに、正解のない育児に悩む家族の相談にのってくれる。
公式HPを見る今の世の中、スマホなしで生活するのはなかなか難しいもの。 正しい知識と使い方を把握して、上手に日々の子育ての中に取り入れていってみてください!