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実は間違っている?!
”正しく” ”美しい”言葉づかい

 新年度が始まって早一か月。新社会人や新しい職場に移った方々も、そろそろ環境に慣れてきた頃なのではないでしょうか。社会人にとって言葉づかいは非常に重要ですが、実は無意識のうちに間違えて使っている方が多くいらっしゃいます。今回はそんな言葉づかいについて考えてみましょう。

あなたは大丈夫?敬語間違いパターン

 敬語の間違えには大きく分けて二つのパターンがあります。一つめは尊敬語と謙譲語の混同です。尊敬語は相手(敬う方)が主語の時に使うのに対し、謙譲語は自分が主語の時に使います。そしてそれぞれの用途は、尊敬語は使うことで相手に階段を一段上がっていただくイメージ、謙譲語は使うことで自分が階段を一段下がり相手の下にくるイメージです。いずれも自分よりも相手を上位に立てることで敬う表現なので、逆に使うと立場が入れ替わってしまい失礼に当たります

 

X)その件でしたら受付で伺ってください。
○)その件でしたら受付でお尋ねください


X)ただ今中村課長(自社)がいらっしゃいますので少々お待ちください
○)ただ今課長の中村が参りますので少々お待ちください

 

二つめは二重敬語です。これは通じないということではありませんが、度重なるとしつこく感じ耳ざわりになります。

 

X)何時頃お戻りになられますか?
○)何時頃お戻りになりますか?

X)お客様がおっしゃられたことは…
○)お客様がおっしゃったことは…

 

 敬語というのは、 “尊敬語で相手を敬い、謙譲語で自分を謹む”という心を表現する大切な言葉づかいです。難易度の高い言葉づかいではありますが、ビジネスの場では必須のスキルですので、意識して使ってみましょう。

 

使い方に注意が必要な言葉

 言葉は文化や時代によって変化するものですが、ビジネスにおいてはどの世代にも違和感のない言葉づかいを心がけるのも大人のたしなみ。つい使いがちな以下の表現を確認してみましょう。

 

①お客様や目上の方に
X)「了解しました」
○)「かしこまりました」「承知いたしました」

 

②変化しないものに対して「○○になります」
X)こちらが説明書になります
○)こちらが説明書でございます

 

③不要な言葉で重なると耳障りになる
・「○○の方」(比較するものがないのに)
・「○○的」「○○の形」(意味のないあいまい表現)

 

 いかがですか?何気なく発する言葉づかいも、少し注意するだけで正しく美しくなります。

 

ビジネスで光る!大人の言葉づかい

 同じ意味を伝える時も、ほんの少し言い回しを変えるだけで印象はだいぶ変わります。ポイントを押さえて、感じがよい大人の言葉づかいをマスターしましょう。

 

・「すみません」
  ⇒「恐れ入りますが」

・「気を遣っていただいて」
  ⇒「お心づかいいただき」

・「返信は不要です」
  ⇒「返信はご無用です」

・「時間が空いたら」
  ⇒「御手隙の際に」

・「見ておいて下さい」
  ⇒「お目通しいただきたく」

・「気にしていただき」
  ⇒「お心にかけていただき」

・「お身体大切に」
  ⇒「ご自愛ください」

・「来ていただき」
  ⇒「ご足労おかけし」

・「なんでも聞いてください」
  ⇒「遠慮なくお申しつけ下さい」

・「何とかお願いできませんか」
  ⇒「お聞き届けいただけますでしょうか」

 

 ちょっとした心づかいで、相手にとって耳あたりのよい表現になります。どんなに美しく装っても、話をした途端イメージダウンしては台無し。言葉づかいにはその人の内面が現れますので、ぜひ相手を思いやる心を言葉づかいで表現してみましょう。

 

 正しい言葉づかいは信頼に繫がり、美しい言葉づかいには人柄が現れます。普段からできるだけ正しく、そして美しい言葉づかいを心がけることが大切です。

 もうすぐ梅雨が訪れます。この時期、しっとりと季節のうつろいを感じながら読書をするのもおつなもの。たくさんの文章に触れて、「美しい日本語」について考えてみるのも良いかもしれませんね。

<text 木村 由紀子>

 

“正しく” ”美しい”言葉づかいのポイント
●主語によって尊敬語と謙譲語を使い分け
●どの世代にも違和感のない言葉づかいを
●言い回しを工夫して、柔らかい表現に
●相手を敬い、自分を謹む心を持って

 

木村 由紀子 きむら・ゆきこ
学習院大学経済学部卒業。
マスコミで経営企画室、人事部を経て社長秘書を勤める。
その後、静岡で旅館の若女将を経験。
そのキャリアを活かし株式会社ファースト企画代表に就任。
サービス接遇、ビジネスマナーの向上を中心とした講演研修活動を行っている。
企業研修(接客・接遇・ビジネスマナー)随時受付中。

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