CAFE LA PAIX
~とろふわの魔法~
〇月×日
「明日の朝は絶対フレンチトーストを作ろう!」
観るたびにそう思う映画がある。
部屋を暗くして毛布にくるまりながら、穏やかな静けさの中で観たい映画。
心がじんわりあったかくなって、ちょっと切ない感動の名作「クレイマー、クレイマー」。
その中でも幼い息子とパパが悪戦苦闘しながら、フレンチトーストを作るシーンがたまらなく好き。
そして、たまらなくフレンチトーストが食べたくなるのだ。
「明日の朝は絶対フレンチトーストを作ろう!」
そう思って寝たはずなのに
起きたら、気持ちはもうフレンチトースト専門店「カフェ ラぺ」へと向かっていた。
フランス語で平穏を意味するLA PAIX(ラ ぺ)。
店名の通り、フレンチトーストの甘い香りに癒され、穏やかな時間が流れる。
黒板にはフレンチトーストメニューがズラリと並ぶのも、専門店ならではの興。
2階のお座敷にはおもちゃやベビーチェアが揃い、ママたちに大人気というのもうなづける。
甘いデザート系に心惹かれながらも、甘いものよりしょっぱいものが好みの私は、いつも食事系をチョイスしてしまう。
高校時代、甘味処に寄り道してもあんみつやパフェを頼む友達を後目に、いつもラーメンを食べていたっけ。思えばあの頃から何にも変わっていないなぁ。
人は10歳までに人格を確定するというけど、10代でほぼほぼ人格形成を終えるのかもしれない。
ふと気づけば時間も時間…。
食事系でいいか!
セレクトフレンチトーストプレートランチの中から選んだのはエビブロッコリーマヨ♪
たっぷりのサラダとスープもついた、心ときめくプレート!
目の前でマヨネーズをジュジュジュウォ~とバーナーで焼きつけてくれる。
みるみるうちに美味しそうな焦げ目がついて、ぷくぷくと躍り出すマヨ。
これはマヨラーの私でなくても、テンションが上がるはず。
卵と牛乳、砂糖の黄金比率のアパレイユをバゲットにじゅわじゅわに染み込ませ、焦がしバターでじっくりと丁寧に焼き上げた、こだわりの逸品。
まわりはカリッと、中はとろとろふわふわのトーストがほんのり甘く、プリッとしたエビとブロッコリーが濃厚なこんがりマヨのヴェールをまとう。
とろふわの魔法にかけられた、麗しのフレンチトーストよ。
右に出るものナシの美味しさに震える。
料理好きの私も、「もう家でフレンチトーストは作らない」と決めた。
それもそのはず。
オーナーのフレンチトースト愛がすごすぎて、5年間食べ歩いて研究した末にたどり着いたという究極のレシピなのだ。
いちごや桃、シャインマスカットなど、季節の山梨の果物を使ったフレンチトーストや月替わりの限定フレンチトーストも登場する。
アートスムージーなるものも発見!
食後のサムシングスイーツにデザート系フレンチトーストをチョイスしたかったけど、さすがにボリューミーで断念…。今度娘を連れてこよう。
今日はスイーツ感覚で楽しめる焼きマシュマロミルクティを。
グッドルッキングな完全なるスイーツ!
きめの細かいほわほわのミルクの泡に、のほほほんと浮かぶ焼きマシュマロ。
口に入れた瞬間にとろけてなくなり、ほんわかやさしい気持ちに包まれる。
ほわふわの魔法にかけられた、美々しいミルクティーよ。
レモン香るお水ですら、美味。
私ももうすっかり魔法にかけられた。
この魔法、どうかさめないで…。
-笛吹市
料理と器とワインをこよなく愛するママ編集者。
性格がおおざっぱなため、お菓子作りは失敗しがち。
最近は酵母菌を我が子のように可愛がっているらしい。