栗原正明さん(29歳) 東京都 江東区出身
職業:地域密着型プロアスリート
(トライアスロン・デュアスロン選手)
現在、北杜市に在住している栗原正明さん。東京都出身ながら、地域密着型プロアスリートの「エース栗原」として活躍している彼を知っている方も多いのではないでしょうか。
今回はスポーツを通して山梨を盛り上げている栗原正明さんを紹介します。
トライアスロンとの出会い
3歳から水泳・野球・器械体操・陸上…と様々なスポーツに携わってきた栗原さん。そんな栗原さんとトライアスロンとの出会いは高校時代。
「高校まで陸上をやっていたのですが、その時に自分の目標を達成したんです。でもその目標も周りを見れば達成している人はいっぱいいて…。もっと周囲に埋もれなくて、みんなにあまり知られていない競技が無いかなあ、って考えていました。そんな時、部活の顧問の先生がトライアスロンをやっていて、それにかなり強く影響されました。しかも先生の自転車(ロードバイク)がかっけーなー! って思ってて(笑)俺も欲しい! って思うようになりました」
高校を卒業し、大学入学を控えた栗原さん。もらった入学祝金で購入したものは、なんと念願のロードバイク。
「入学祝いって、もらったら普通はみんな免許取るのに使うんですよね。でも俺はその15万でロードバイクを買っちゃったんです(笑)それで大学の30人くらいのトライアスロン部に入部しました。」
悔しい!
入部して間もなく、栗原さんは先輩と同級生と共にロードバイクの練習へ。それまで大学でもそれなりに自分の力が通用すると思っていた栗原さんでしたが、さっそくその思いは砕かれます。
「たった2kmの坂を走ったんですけど、サッカー部の同級生に負けたんです。まさか負けるなんて思っていなくて、すごく悔しくて、そこで競技に対する闘争心が芽生えましたね。」
これを機に、江東区から多摩までの通学路の片道40kmを週3回ロードバイクで通うようになります。その距離、時間にしてなんと1時間50分! また、大学時代には関東一周1,000kmの旅や、香川で行われるトライアスロンの全国大会に参加するために、現地まで片道1,500kmもの道のりをロードバイクで向かったことも。
大会に出場するのにロードバイクで向かうなんて、私たちの発想では到底考えられません…
そんな地道な努力の甲斐あって、学生時代には日本チャンピオンとアジアチャンピオンに!
アメリカの世界大会(U23)では6位という好成績を残します。その後は大学院に進学しつつスポンサーも付き、順調な競技生活を送っていた栗原さんですが…。
「大学院2年になって、研究も忙しくなって…。でも練習もしないと! と思ってトレーニングしてたんですけど、結果は出ず。それもあって結局研究に逃げてしまいました。もちろん、スポンサー契約も無くなって。就活もしていなかったので、これからどうしようかなってアルバイトばかりしていました。」
そして山梨へ
卒業後、目標もなくアルバイトをしていた栗原さんでしたが、大学院の教授から“教員”の道を勧められたことがきっかけで、山梨県にある日本航空高校へ。そこで教職員として働く決意をします。縁もゆかりもない山梨に来た当時の心境を、栗原さんはこう語ります。
「東京にいると『“元”日本チャンピオンの栗原』って後ろ指さされることがあって、それがすごく惨めだったんですよね。山梨なら自分を知っている人はいないし、またイチからスタートできるって思ったんです。あと、大学で教職課程も取っていて教員の道にも興味があったので抵抗はありませんでした。」
3年間教職を務めたのち、アスリートとして復活。そのきっかけは教師時代の「総合学習」の授業なんだとか。
「総合学習の授業で『10年後の夢を作ろう』っていう課題を生徒に出しました。そのときに改めて自分の夢を考えたときに自分は『2024年に情熱大陸に出演する!』っていう夢を掲げたんです。それを達成するために、3年・5年・8年・・とそれぞれに目標を設定しています。」
明日やろうは、バカ野郎だ!
栗原さんは教職を辞めた今もなお山梨に住み、山梨のことをPRしています。
「ご当地キャラのように“ご当地アスリート”がいてもいいなあ、って思っています。僕を通してスポーツにももっと憧れを持って欲しいし。僕を支えてくれたのは山梨の方たちなので、スポーツを通して感動を与えたり、恩返しが出来ていければな、と思ってます。」
そんな栗原さんの座右の銘は“明日やろうは、バカ野郎だ!”。プロアスリートとしてのキャリアを着実に積み上げている今も、その言葉は栗原さんの核となっています。
「競技者としてはもちろん、指導者として子供たちやクラブチームに指導や講習会などをしていきたいです。それと企画者としても観光とスポーツの融合だったり、北杜市を観光の聖地にしたり、スポーツイベントを開催したり…山梨の皆様に愛されるプロアスリートとしての新しい形を築きたいです!」
栗原さんにとって山梨はプロアスリートの夢をもう一度叶えるチャンスをくれた場所。練習環境はもちろん、水・空気・食べ物・そして人が揃っていると言います。その山梨の魅力を発信し、伝えられるアスリートとなるべく日々活動している栗原さんに、今後も目が離せません。