ふらいずむ
[ 甲府市 ]

多くの飲食店が軒を連ねる甲府の春日通りに、完全予約制の揚げ物店がある。その名も「ふらいずむ」。揚げ物という概念を覆す見目麗しいフライドフードをコース仕立てで味わう。あるのはカウンター席８つと、高揚感に包まれる料理、そしてペアリングドリンクに、程よい緊張感と静けさ…。料理に耳を傾け、愛で、香り、味わいたい1軒は、大切なだれかと…。

扉にはオレンジ色に浮かび上がる“ｆ”の文字。中の様子を全くうかがい知ることはできない神秘に満ちた空間とは…。モノトーンで統一された店内には、8人の客をもてなすカウンター席が配され、朱色のプレートが異彩を放つ。「主役はお客様と料理」というコンセプト通り、ほの暗いムーディな中でカウンター席のみにスポットライトが当たり、供される料理はまるで宝石のよう。全20品の多種少量のワンコースで、大人だけの贅沢を。

百花繚乱の珠玉の20品

メニューは、ひと口サイズの揚げ物で構成された20品のワンコースのみ。細かく砕いた衣は油の吸収率が少なくさっぱりと軽やかで、揚げ物とは思えない上品さに溢れる。クリームチーズには、手間を惜しまず愛情たっぷりに手作りした干し柿をのせて。プリプリの海老は、無農薬の青唐辛子を使った、ピリッと辛い大人のタルタルが絶妙に絡む。冬限定の真鱈は酒と塩に漬け込み、うっすらと青海苔が香る。どれも丁寧な手仕事の賜物。

こだわりは油と塩とワイン

油を操り30年以上というシェフ。基本は毎日替えるシャンパン色の油！ 30年間探しぬいた納得の素材が30年の確かな技術によって、美しき透明な海に放たれる。中でもスイーツのような人参は、自然な甘みの中に濃厚な旨味をとじこめた自信作。人参にはトリュフ塩、ピーチジェラートにはマルドンの塩など巧みに使い分けるのも妙妙たる技。県産ワインはワイン好きのシェフと奥様が実際に飲み歩き、おすすめできるものばかりだ。

パフォーマンスもご馳走

華やかなコースのエピローグは、奥様がたててくれる宇治抹茶のカプチーノをぜひ。最後のスイーツまではおよそ1時間半で供される。ヴァレンタイン時期だけは和栗のモンブランが特別にお目見え。手作りペーストもさることながら、中に隠れたふわふわのメレンゲのババロアは栗に負けず劣らずの手をかけた逸品だ。目の前で作り上げてくれるスペシャルスイーツにうっとりと酔いしれよう。
ふらいずむコース：全20品 5,980円
宇治抹茶のカプチーノ 750円/ほうじ茶のカプチーノ 650円
2月15日（土）まではヴァレンタインコースのみ：6,980円
※価格はすべて税別
※コース内容は季節によって異なる