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木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん

プロフィール

山梨市出身 山梨市在住。
高校卒業後、眼科で検査員として約5年勤務。
24歳で語学留学、帰国後親の仕事を手伝いながら、2018年木材専門店「&CRAFTS」をオープン。
県内でも珍しい、木に特化した専門店として、山梨県産材を主に取り扱う。
完璧じゃなくてもいい
木から学んだ新たな価値観
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
山梨市にある2018年にオープンしたばかりの「&CRAFTS」。
木材に特化した珍しい専門店。DIYをしたい人たちの間で、なかなかホームセンターでは手に入らないようなデザインやサイズの木材が揃うと評判のお店。
ここの店主を務める、若き女性オーナー山本瑞穂さん。
独自の視点で選んだ木材たちは、ひとつひとつ木の目や風合い、質感がすべて違い、とても個性的。山本さんの斬新でやわらかな発想が、木々の魅力を最大限に引き出し、自然から生まれた様々な製品を生み出していく…。
山本さんが県内でも珍しい木材専門店をオープンした、その思いに迫ります。

やりたいことがない!

木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
小さい頃の夢は電車の車掌さん。鉄道関係の仕事をしていたお父様の背中をかっこいいなぁと眺めていた幼少時代、「大きくなったらお父さんと一緒に仕事をしたい」…漠然とそう思っていた山本さん。
しかし、高校を卒業後就職に失敗。とりあえずフリーターでもいいや…と思っていた矢先、縁あって眼科に就職することに。
「たまたま就いた眼科の仕事でしたが、意外に自分にむいていたんです。人と接することが好きだったし、いろんな人の話を聞いて、目に関することだけじゃなく、その人の人生まで垣間見れたり。人の生き方って本当にいろいろあるなぁと感じました」。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
“これがやりたい!”と確固たる目的がないまま就職した場所でしたが、そこには様々な出会いがありました。
山本さんが「人生の先輩」として今でも慕っている5歳上の先輩との出会いもそのひとつ。「やりたいことが見つかったら、いつでも辞めていいよ」という先輩の言葉が、山本さんの人生の転機になったんだとか。
「働きながら自分のやりたいことを続けていた人で、ずっとその言葉が頭に残っていたんですね。一度は絶対海外に出たかったんですが、23歳のとき1年後に語学留学すると決め、24歳で退職してオーストラリアに行きました」。

まさに有言実行!そんなに強い思いをもって海外へ…?

「20歳の時に“25歳までにやりたいこと”リストを作ったんです。一人暮らしをするとか、10項目あったリストが一つずつ消えていって、単純に最後に“海外で暮らす”が残ってた(笑)」。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん

オーストラリアから学んだこと

念願の海外生活でしたが、母親が体調を崩したことがきっかけで、約半年で帰国。そのままお母様の仕事を手伝うことになった山本さん。
「母の実家が製材所なんですが、中途半端な大きさの木切れは使い道がなく、高級な木材をチップにしてしまうのがもったいなぁって感じていました。捨てられていく木を何とかできないものか?そう考えるうちに、個人でDIYする人には様々なサイズやデザインの木材のニーズがあるのではないかと。普通あまり手に入らない木材をリーズナブルに販売しようと思いつきました」。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
それまで木に特別興味もなかった山本さんが、木に特化した専門店を経営するようになるなんて、夢にも思わなかったこと。
「それも全部オーストラリア留学があったからかもしれない」と山本さん。
いろいろなものに対する価値観を変えたオーストラリアでの日々。

「お金を出せばいいものが手に入るって、ある意味当たり前。だけど、完璧じゃなくても物を大切にするって、すごく大切なことですよね。そんなごく自然なことに改めて気づかされたんです」。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
「オーストラリアでは、日本ではあまり見ないような不格好な野菜や不揃いなフルーツも、普通に売っているんです。売り物だからって、すべて完璧じゃなくてもいい。使う人次第でそんなことはどうにでもなるんですね」。
それは、山本さんがオーストラリアで見た新しい価値観でした。
帰国後に捨てられていく木々に価値を見い出し、木に気持ちが向かっていったのは、単なる偶然か、必然だったのか…。
それまで使われていなかった空きスペースを、半年がかりで内装からすべて自身の手でDIYして作ったのが、現在のお店。
「どうせスペースがあるなら、何かを生み出す空間にしたかった」。

新たな山梨のカタチをつくる!

職人じゃないからこそ、新しい提案ができるかもしれない。
職人じゃないからこそ、わけのわからない答えを見い出せる。
「&CRAFTS」はそんな山本さんの思いから生まれたお店。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
「1+1が2じゃつまらないでしょ。常識を覆せたらおもしろい。それには、どういう人がどんな商材を欲しているのか、お客さんからもたくさんのヒントをもらっています。寄木細工みたいに、木工の伝統工芸として新たな山梨のカタチを発信したい」。

ここでは、ちょっとしたギフト用にオリジナルアレンジができます。
好きな木材の箸を選んで、名前を入れたり。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
花言葉同様に、木にもそれぞれに意味があるんだとか。
「ケヤキは長寿、オークは勇敢、クリは正義など。家族のイメージやスタイル、ギフトならどんな気持ちでその木製品を贈るのかまでを考えて制作します」。
自分が考える最もいい木材がないときには、待ってもらうこともあるというこだわりよう。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
「木は切った後も生き続けている」という山本さん。
だから、買って終わりじゃない。
使い続けるということは、木を育てていくということ。
最近は古材にも注目しているという山本さん。
「生き物だから、一緒に暮らしながら定期的に様子を見てあげて、メンテナンスも必要。ちょっと手間をかけてあげれば、いい家具は確実に次の時代にも繋げていけるんです。完成品としての家具を普通は買うけれど、木材からサイズやデザインを選んで予算に合わせて引き算できるのも、より手軽に使えるポイントですね」。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん

次なる夢への準備期間

昔から、こんなにもたくさんの木に囲まれた日々を送ってきたのに、20代後半になってやっと木の魅力に気づき、おもしろみにハマってきたという山本さん。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
「いろいろなことを経験して、なんだかすごく遠回りをしたように思うけど、すべてをストレートにいける人ばかりじゃない。眼科では様々な人の悩みを聞いて、人生に寄り添ううちに、いろんなものの考え方があることを学んだし、オーストラリアの生活が今までの価値観を覆してくれた。 “山梨”という共通項でくくられながらも、いろんな視点から物事を考える癖がつきました」。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん
「25歳までにやりたいこと、すべてを叶えて、今は考える時期。新しい夢と一緒に走り出す準備期間」。
遠回りしてもいい。
バラエティに富んだすべての経験が、山本さんの今の道しるべとなっています。
今はまだ小さなバラバラの木々のチップがどのように形作られていくのか。
その1ピースはまだ置かれたばかり。
木と生きる木材店主 | 山本瑞穂さん

ロケ地はここ!
山本瑞穂さんが営むお店
&CRAFTS
山本瑞穂さん
山本瑞穂さん
&CRAFTS
革やデニムを育てるように、木も愛情を注いで育てていくもの。そんな山本さんの思いを感じられる、木材に特化した専門店。山梨県産材を中心に、FSC認証を取得した環境にやさしい材料が揃う。
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