樋口しのぶさん(44歳)
中央市出身 中央市在住
”人事コンサルタント”
テレビのニュース情報番組やワイドショーなどでコメンテーターとしてよく見かける“コンサルタント”という肩書を持つ人たち。
しかし実際どんな仕事をしているのかよく分からない…という人も少なくないのでは。
今回紹介する樋口しのぶさんは、山梨県内では珍しい『人事コンサルタント』。
知られざるその仕事の内容や、経緯、姿勢などをたずねてきました。
教科書なし、1つ1つオリジナルの問題解決
「どんなお仕事ですか?とよく質問されるんですが、なかなか説明が難しいんですよね。」
少し困ったような笑顔で自身の仕事についてそう答える樋口しのぶさん。
“人材から人財へ”をコンセプトに個人で活躍する、人事問題に特化したコンサルタントです。
「私がやっているのは、簡単に言うと企業の組織開発のお手伝い。例えば求人が来ない、来てもどう育てたら良いかわからない、育ってもやめてしまうなど企業の人材関係の悩みに対して、何が問題かを洗い出して解決していくのが私の仕事です。」
確かにイメージしづらく難しそうな内容…。
さらに具体的なことを聞くと「ケースバイケースなので一般的な概要しかお伝えできませんが」と前置きをしつつ、こう教えてくれました。
「基本的な仕事内容は、社員研修などを行う“トレーニング”、労務管理や人事の仕組みに対するアドバイスや構築を行う“コンサルティング”、そして企業の経営理念や人材育成に関する会議等に参加して方向性を導く“ファシリテート”の3つ。
でも企業によって問題や課題は違うので、これらを組み合わせたりカスタマイズして対応しています。『これだけやればいい』っていう教科書的なものがあれば楽なんですけどね 笑」
仕事に触れて初めて知る“人”というテーマ
樋口さんが本格的にこの仕事をスタートさせたのは今から1年ほど前。
それまで東京都内にある食品メーカーで10年以上人事の仕事にたずさわったあと、2013年に山梨県へ帰郷。
その後は労働局や市役所などで労働相談員として勤務してきました。
「転機になったのは、2015年頃。昔からの知り合いで、すでに人事コンサルティングの第一線で活躍している女性から『仕事を手伝わないか』と声をかけて頂きました。最初はその人のお手伝いで都内だけで活動していたんですけど、2016年の終わりに山梨県内の法人から依頼を頂いて。それをきっかけに山梨に拠点を移しました。
今ではありがたいことにクライアントの口コミでお仕事を頂いています。ちなみにその人は、今でもビジネスパートナーとしてお世話になっています。」
そんな樋口さんですが、もともと人事コンサルティングの実態は知らなかったのだとか。
しかしある経験がそれまでの樋口さんの認識を一変させます。
「まだ食品メーカー時代に、勤務先の先輩の誘いでハンドボール日本代表チームのサポートプロジェクトに関わらせてもらったんです。
内容は、組織構築の観点からチーム作りをサポートすることでチームをより強くすることが目的でした。
そこで初めて今のビジネスパートナーと出会って人事コンサルタントという仕事に触れたのですが、それまでの私のイメージとは大きく違っていて。
一番印象的だったのはこの仕事の根本的なテーマが“人”だということ。組織は人の集合体なわけですが、そこで起きている問題を解決するためにまず“人”を知ることから始めるんです。
私はもともと漠然と“人”に興味があったので、その内容にとても感心を持ちました。あと、この仕事は私が思っていたよりずっとフットワークが軽くて仲間と協力することもあるのだという発見もありました。
まさかその数年後に自分が同じ人事コンサルタントになるとは思いもしませんでしたけど 笑」
『今、自分にできること』と向き合い続ける
この仕事を始めてから手掛けた業種は、医療系・サービス業・観光業・官公庁など様々。
その中で樋口さんは関わった企業の分だけ課題や問題に直面してきたと言います。
「一番多い相談は『何が原因かわからないけど、何かうまくいかない』というもの。そのため経営陣、管理職、現場の人、それぞれの立場の方々から話を聞いて問題の根本を探っていくわけですが、こんなに根深いのか…と思うこともしばしばあります。」
しかしその中でもやり甲斐を感じる場面は多々あるのだとか。
「最近嬉しかったのは、依頼を受けた企業の離職率が35%から0%に落ちたことですね。そこは私が関わることでリーダー職の方々の意識が変わった企業で、私にとっても大きな励みになりました。
私は仕事をするうえで『どうしたら役に立てるか』ということを常に考えているのですが、自分が関わることで組織がうまく機能するようになったとクライアントに実感して頂けると、役目を果たせた!と感じます。」
そんな樋口さんにこれからの目標を聞くと、「実はこうなりたいというビジョンはないんです」という意外な答えが。
「私は『未来の自分は今の自分が作っている』と思うので、未来より今にフォーカスを当てるべきだと考えているんです。だから、誰かの役に立てるうちはこの仕事に励み続けるし、自分でなくても用が足りると思えば身を引くつもりでいます。
今この仕事をしていて感じるのは、山梨県内の企業のあり方・考え方が全体的に前時代的であること。
来年には日本は新しい年号になりますが、少しでも山梨全体の人事体制を今の時代に近づけるためのお手伝いをすることが今の私の役目だと思っています。」