ようこそ! ゲストさん メンバー登録はこちら
2020年3月19日

パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん

プロフィール

北海道出身 大月市在住。
2004年長女を出産。
アレルギーの娘のために酵母パンを焼き始め、2009年有機レーズン酵母を使ったパン教室を開講。委託販売から2014年自宅をリノベーションし「トゥルシー」としてパン屋開業。
2019年練り切りアート®認定講師の資格を取得/JSA(日本サロネーゼ協会)
心の声に耳を傾けて…
パンが教えてくれたメッセージ
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
大月市JR鳥沢駅近く、国道20号沿いに「酵母パンとスープ トゥルシー」の看板。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
看板はあるものの、どこにお店が…?迷いながら探すと、そこは一見お店だとは思わないような佇まい。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
ちょっぴり急な階段を上がって中に入ると、清潔感溢れる白い壁と木の落ち着いた温もりに包まれた空間が広がっていました。ナチュラルなレトロ感漂う、素朴なお店。どこか懐かしく、ほっこり心が和みます。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
金曜日と土曜日の週2日だけ営業する、酵母パンとスープのお店、トゥルシー。
特別パンが大好きだったわけでもなかった上條さんがパン作りをはじめ、パン屋さんを開店するまでに至った経緯とは…。彼女のやわらかな話し声に惹き込まれるうち、ふと気が付くとすぅっと肩の力が抜けていました。

娘のために焼いた酵母パン

パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
もともとはご飯党だったという上條さん。娘さんが1歳の離乳食を迎えるころにパンを食べたがったことがきっかけで、アレルギーを持つ娘さんのために、娘さんが食べられるパンをと、パン作りを始めました。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
それから、独学でレーズン酵母パンに取り組む日々…。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
パン作りにみるみる魅せられていった上條さんは、パン教室を開講するまでに至り、生徒さんとともに楽しく過ごし5年ほどが過ぎていきました。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
そんなとき、「ここでパン屋さんやったらいいのに」という生徒さんの何気ない一言が引き金になり、パン教室とともにパン屋さんも開業することに。

もともと頑張り屋だという上條さんは、次第に「もっとたくさん」「もっと上手に」パンを焼くことに専念し始めていきました。

手放して手に入れたもの

パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
一生懸命になればなるほど、身を削られ、疲れ果てていったという上條さん。パンを焼いて売り、売り上げの数字を追いかけ、また翌朝にはパンを仕込み焼く。終わりのない自転車操業に、睡眠時間も削られ、肉体的にも精神的にも限界になっていたんだとか。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
はじめは娘さんに自然で美味しいパンを食べさせてあげたかっただけなのに、だんだん「もっと美味しく作ること」「もっとたくさん焼くこと」「もっと売り上げを上げること」「もっと、もっと…」と、どんどん目標を高く高く上げていきました。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
「頑張るって、本当にエネルギー的につらいこと。こんなに頑張ったのに、なんでこれしか売れないんだろうと、自分を責めたり、日々アップダウンする売り上げに身も心も削られていく。お店が終わったある夕食時に、お茶碗を持ちながら寝てしまって、娘に“ママ!寝てる!”って言われて、はっとして目を覚ましました。その時に、こんなに疲れていたんだ。もうダメだ、限界だ!って思って。そこから、吹っ切れたんです(笑)」。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
それから、「できる範囲」「目が届く範囲」でやろうと肩の力を抜くことにしたという上條さん。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
「今になって思うことは、“頑張り続ける”って、その時の、頑張っているわたしを私が、認めてあげられなかったんだな~。って。頑張ってやっとここまできたのに、辿り着いたと思ったら、やさしい言葉もないまま、「はい!次は、ここね!」って、もうそんなわたしに私が、ついてこられなくなった。私の性格上、そこまでしなければ、“頑張ること”を手放せなかったんだと思います」。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
そして上條さんは週2日だけ、自分が楽しく、頑張らないでできる範囲でパンを焼くことに決めました。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
「パン屋は私にとって学びの場。“頑張ったり無理をしたりすること”を手放すことの大切さを教えてくれたし、私にとってパンは、人と私をつなぐ大切なコミュニケーションツールだということ」。

声なき者に耳を傾けて

パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
フランスの先生の「ブーランジェは生きものを扱う仕事だよ」という言葉が今でも心に残っているという上條さん。まさに、酵母は生きています。ボコボコいって酵母菌たちが元気かどうかを目で確認し、ふたを開け“シュワ”っと力強く音がすれば、次のステップに進んでいいよというサイン。どれくらい膨らんだかで、美味しいパンになるかどうかもわかるのだといいます。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
そんな声なき者、弱き者、小さき者から発せられるサインをくみ取ることこそ、ブーランジェの仕事なのです。

そんなふうにつくられたパンは、いつもきまった同じ味にはならない。だから楽しいのだと上條さんはいいます。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
「もちろん、作ったパンは愛おしいし、残ってしまったとしても捨てられないのなんて当然です。だけど、“パン屋さん”って言われることに、なんだか違和感があるんです。普通のパン屋さんは、毎日、朝早くから開店してたくさんの量のパンを焼いているイメージ。そんなイメージのパン屋さんたちと一緒では、とても気が引ける。うちのように、パン屋なのに「メイクアップ教室」や「練り切り教室」を開催してしまうのは、パン屋としての枠から外れている気がします」。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
「だけど、そこがトゥルシーの魅力だとも思っています。パンと言うコミュニケーションツールを使い繋がってきたネットワークに、今、自分の内から湧き上がるその時々の想いをのせていきたいと思います」。

もう、頑張らない

パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
頑張るのではなく、楽しんで気持ちよく焼けるくらいのペースでパンを作る。
だから、週2日だけ、朝1回焼いたパンが売り切れたらそれでおしまい。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
もし、残ってしまったら自分で食べたり、お世話になった人にあげればいい。そう思えるくらいに、ゆるっと営業する。そんなパン屋さんがあってもいい。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
トゥルシーのパンは、一口食べれば酵母の独特の風味が香り、シンプルなパンの味わいを噛みしめることができます。ジャムをつけたり、ハムをはさんだり、食べる人の自由にできるよう、いたってシンプルに仕上げられたパンたち。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
頑張りすぎなくていいよ。
そのままで素敵だよ。
表と内面が一致していないと、きついよね…。
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
今日はどんな言葉で語りかけてくれるのでしょう。
ゆるりとした雰囲気の中、やさしさに包まれて。

ロケ地はここ!
上條志圃さんが営むお店
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
パン屋を通じて情報発信|上條志圃さん
酵母パンとスープのお店 トゥルシー
詳細はコチラから
https://www.porta-y.jp/gourmet/7591
■イベント■
大人のメイクレッスン
「いつでも、あなたがあなたでいてほしい」…そんなメッセージを込めて、6月くらいまで開講。3・4月は一流女優の専属ヘアメイクとしても活躍中の岸順子さんのメイク講座も。
◇3/28(土)◇4/18ほか
パン講座
◇6/13(土)食パン予定
詳細は問い合わせ
0554-68-8152
バックナンバー
トップへ