2019年11月1日
山梨県甲府市出身、株式会社アットホームサポーターズ代表取締役。
東京での会社員生活を経て、2017年に地域おこし協力隊として再び山梨へ。現在丹波山村で狩猟をベースとした事業と、自治体に向けたテントサウナのリース・イベント企画運営プロジェクトを展開中。
地方が持つポテンシャルを持続的な産業に
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山梨県・東京都・埼玉県の県境にある丹波山村。
山梨県内で最も人口が少ない地域であり、古くから猟師の村として知られる場所でもあります。
9月のある晴れた休日、この村の一角で“狩猟”と“テントサウナ”という異色のコンテンツを掛け合わせたアウトドアイベント「狩猟とサウナ」が開催され、県内外から多くの人が集まりました。
こんな奇抜なアイデアを生み出したのはいったいどんな人?
湧き出た疑問を解消すべく、主催者である保坂さんのもとを訪ねました。
山梨県内で最も人口が少ない地域であり、古くから猟師の村として知られる場所でもあります。
9月のある晴れた休日、この村の一角で“狩猟”と“テントサウナ”という異色のコンテンツを掛け合わせたアウトドアイベント「狩猟とサウナ」が開催され、県内外から多くの人が集まりました。
こんな奇抜なアイデアを生み出したのはいったいどんな人?
湧き出た疑問を解消すべく、主催者である保坂さんのもとを訪ねました。
地元山梨の活性化を
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「今日は朝早くに鹿が獲れちゃって…」
そう言いながら待ち合わせ場所に現れた保坂さんの肩書は、株式会社アットホームサポーターズの代表取締役。
丹波山村でジビエ肉処理加工施設の運営と加工食品の製造・販売を行っています。
しかしそれは保坂さんの一面にすぎず。
他にも、猟師、イベンター、テントサウナを使った事業のコンサルティングなど、携わっているビジネスはどれも型破り。
一見すると共通点はなさそうですが、「実は全部『山梨の活性化』というキーワードからスタートしてるんです」と保坂さんは言います。
そう言いながら待ち合わせ場所に現れた保坂さんの肩書は、株式会社アットホームサポーターズの代表取締役。
丹波山村でジビエ肉処理加工施設の運営と加工食品の製造・販売を行っています。
しかしそれは保坂さんの一面にすぎず。
他にも、猟師、イベンター、テントサウナを使った事業のコンサルティングなど、携わっているビジネスはどれも型破り。
一見すると共通点はなさそうですが、「実は全部『山梨の活性化』というキーワードからスタートしてるんです」と保坂さんは言います。
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地元山梨を離れ東京で会社員として生活していた2017年頃、帰省のたびにどんどん閑散としていく山梨の姿を目の当たりにし、胸を痛めていた保坂さん。
東京の隣にあるのに全然メジャーじゃない山梨県をなんとかしたい!と一念発起し、地域おこし協力隊として山梨に戻ることを決意しました。
東京の隣にあるのに全然メジャーじゃない山梨県をなんとかしたい!と一念発起し、地域おこし協力隊として山梨に戻ることを決意しました。
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保坂さんが地域活性の材料として目を付けたのは、害獣である鹿。
「山梨県内各地で深刻なシカ被害に悩まされているということを知って、これを活かして何か事業ができないかなって考えたんです。このアイデアを展開するのに最適な場所を探していたら、ちょうど鹿の解体処理ができる食肉処理施設の管理業者を探していた丹波山村にたどりついて。だから、僕はもともと猟師になりたくて丹波山村に来たわけじゃないんです(笑)」
「山梨県内各地で深刻なシカ被害に悩まされているということを知って、これを活かして何か事業ができないかなって考えたんです。このアイデアを展開するのに最適な場所を探していたら、ちょうど鹿の解体処理ができる食肉処理施設の管理業者を探していた丹波山村にたどりついて。だから、僕はもともと猟師になりたくて丹波山村に来たわけじゃないんです(笑)」
狩猟を生産性のあるコンテンツに
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丹波山村に来てからまずはじめたことは、狩猟を継続可能な産業に転換すること。
それまで丹波山村では害獣駆除としての狩猟がメインで、食肉として卸しても十分な収益は得られていなかったのだそう。
そこで保坂さんが考えついたのが、カレーやコロッケなどの鹿肉を使った加工食品の製造・販売でした。
それまで丹波山村では害獣駆除としての狩猟がメインで、食肉として卸しても十分な収益は得られていなかったのだそう。
そこで保坂さんが考えついたのが、カレーやコロッケなどの鹿肉を使った加工食品の製造・販売でした。
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「国からの補助金を活用して、鹿の解体から加工食品の製造までできる施設をつくりました。商品のレシピはプロのシェフにお願いしましたね。鹿肉のほかにも丹波山村特産のジャガイモなんかを使って、よりオリジナリティを出すよう工夫もして。その結果、生活できるレベルまで収益を確保できるようになりました」。
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また、狩猟の文化面も尊重している保坂さん。
猟師のことを「鉄砲ぶち」と呼ぶ丹波山村は、古くから狩猟文化が栄えていきた土地。
しかし現状は、人口減少や高齢化によりその文化は廃れる一方なのだとか。
これに歯止めをかけるべく立ち上げたのが、狩猟の文化と現状を発信するイベントの開催でした。
「今回開催した『狩猟とサウナ』では、参加者に猟師の解説つきで実際に鹿の解体を見てもらったり、“猟師のこれまでとこれから”についてのトークショーを盛り込みました。今ジビエブームですけど、その肉を誰がどうやって獲ってきたのか知ってもらうには、現場を実際に見たり、当事者の話を聞いてもらうのが一番早くてわかりやすいと思うので」。
猟師のことを「鉄砲ぶち」と呼ぶ丹波山村は、古くから狩猟文化が栄えていきた土地。
しかし現状は、人口減少や高齢化によりその文化は廃れる一方なのだとか。
これに歯止めをかけるべく立ち上げたのが、狩猟の文化と現状を発信するイベントの開催でした。
「今回開催した『狩猟とサウナ』では、参加者に猟師の解説つきで実際に鹿の解体を見てもらったり、“猟師のこれまでとこれから”についてのトークショーを盛り込みました。今ジビエブームですけど、その肉を誰がどうやって獲ってきたのか知ってもらうには、現場を実際に見たり、当事者の話を聞いてもらうのが一番早くてわかりやすいと思うので」。
テントサウナが作るネットワーク
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保坂さんがもう一つ手掛けているプロジェクトが、自治体同士が連携したテントサウナのネットワークの構築。
アウトドアブームの中、若い世代を中心に浸透しつつあるテントサウナですが、保坂さんは単純なエンタメとしてではなく、災害時にも活用できるインフラとしてとらえているのだそう。
「テントサウナのよい所は、可動式で燃料が薪だけというところ。災害時に断水したり停電になっても、お風呂の代わりとして使えるんです。丹波山村をはじめ、山梨県内には道路が1本遮断されるだけで陸の孤島になってしまう土地がいくつもある。そういった地域にテントサウナのネットワークを作ることで、災害時の衛生面をフォローできると思っています」。
アウトドアブームの中、若い世代を中心に浸透しつつあるテントサウナですが、保坂さんは単純なエンタメとしてではなく、災害時にも活用できるインフラとしてとらえているのだそう。
「テントサウナのよい所は、可動式で燃料が薪だけというところ。災害時に断水したり停電になっても、お風呂の代わりとして使えるんです。丹波山村をはじめ、山梨県内には道路が1本遮断されるだけで陸の孤島になってしまう土地がいくつもある。そういった地域にテントサウナのネットワークを作ることで、災害時の衛生面をフォローできると思っています」。
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また、テントサウナとコミュニティーづくりの相性のよさにも着目。
通常のサウナよりも温度が穏やかだから息苦しくなく、長時間入っていられることから、利用者同士の会話が弾むのだとか。
「テントサウナと別のコンテンツを組み合わせることで、より人や地域とのつながりを感じさせるツールになるんじゃないかと思っていて。今は丹波山村で展開しているので狩猟とコラボしていますが、例えば土地によって花火だったり富士山だったり、各地の産業・名所とテントサウナを掛け合わせたイベントもやっていきたいと考えてます」。
通常のサウナよりも温度が穏やかだから息苦しくなく、長時間入っていられることから、利用者同士の会話が弾むのだとか。
「テントサウナと別のコンテンツを組み合わせることで、より人や地域とのつながりを感じさせるツールになるんじゃないかと思っていて。今は丹波山村で展開しているので狩猟とコラボしていますが、例えば土地によって花火だったり富士山だったり、各地の産業・名所とテントサウナを掛け合わせたイベントもやっていきたいと考えてます」。
地域が持つアイデアを形に
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地域活性に対して大きなビジョンを持っている保坂さん。
単に一つの事業やイベントを成功させるだけでは不十分だと言います。
「自分が地域創生に関わるようになって感じたことは、過疎に悩む自治体は、実はやらなきゃいけないことも分かってるし、アイデアもある。でも人出がない・資金がない・方法がわからないという理由で実現できていないだけなんです。自分の仕事は、そのアイデアを形にして発信すること。今は丹波山村に注力していますが、いずれは“産業を作って雇用を生む”、“移住者を増やす”、“できたシステムを引き継ぐ”を軸に、山梨県内の別の過疎地域でも展開していきたいと思っています」。
単に一つの事業やイベントを成功させるだけでは不十分だと言います。
「自分が地域創生に関わるようになって感じたことは、過疎に悩む自治体は、実はやらなきゃいけないことも分かってるし、アイデアもある。でも人出がない・資金がない・方法がわからないという理由で実現できていないだけなんです。自分の仕事は、そのアイデアを形にして発信すること。今は丹波山村に注力していますが、いずれは“産業を作って雇用を生む”、“移住者を増やす”、“できたシステムを引き継ぐ”を軸に、山梨県内の別の過疎地域でも展開していきたいと思っています」。
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また活動する中で、常に“地域の人と一緒に活動する”ことも大切にしていきたいのだとか。
「ただのコンサルティングじゃ机上の空論で終わってしまうし、何より土地の人から信用してもらえない。『同じ釜の飯を食う』じゃないけど、地域の人と一緒になって活動して、つらいことでも率先してやることが本当の地域活性化につながると思ってます」。
「ただのコンサルティングじゃ机上の空論で終わってしまうし、何より土地の人から信用してもらえない。『同じ釜の飯を食う』じゃないけど、地域の人と一緒になって活動して、つらいことでも率先してやることが本当の地域活性化につながると思ってます」。
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山間の小さな村で育まれる大きなプロジェクト。
まだまだ前途多難だけれど、枠にはまらない手法とアイデア、そして保坂さんの地域の人と真摯に向き合う姿勢によって、その精神は確実に根付きはじめています。
過疎に悩む地域に光を照らす存在となるのも、そう遠くないはず。
まだまだ前途多難だけれど、枠にはまらない手法とアイデア、そして保坂さんの地域の人と真摯に向き合う姿勢によって、その精神は確実に根付きはじめています。
過疎に悩む地域に光を照らす存在となるのも、そう遠くないはず。
<2019年11月イベント開催予定>
第五回「狩猟とサウナ」
日時:2019年11月30日(土)10:00~16:00
会場:道の駅たばやま
詳細はこちら→
https://www.porta-y.jp/event/88255
第五回「狩猟とサウナ」
日時:2019年11月30日(土)10:00~16:00
会場:道の駅たばやま
詳細はこちら→
https://www.porta-y.jp/event/88255
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