Release:23.05.26
ポタージュとおやつ café matoca
~孤独を愛する旅人~
〇月×日
まわりからは、根っからの陽キャだと思われている私。
多くの人と関わることが大好きだけど、時に寂しさは、私を孤独な旅人に変える。
孤独は静寂をもたらし、
静寂が癒しをもたらし、
癒しが自分との対話をもたらし、
自分と向き合うことで心の余裕が生まれる。
なんて素敵なこと!
誰かと楽しくおしゃべりしていたら、きっとこんな風景にも気づけない。
孤独な旅の途中に出会う、たくさんのささやかな風景…。
太陽の光や傾き、時間の揺らぎ、そして愛すべき人たちの想いが、寂しさのずっとずっとその先へと連れて行ってくれる。
クリオネみたいに透き通った心の置き場は、ここ「ポタージュとおやつ café matoca(カフェマトカ)」と決めている。“マトカ”とはフィンランド語で「旅」。
旅の途中の、体を休めるためのスープと、心を緩めるためのロウケーキ。
訪れる人に居心地と安らぎを与えてくれる店内は、まるでまだ見ぬユートピアみたい!
店主のただ好きなものと友達の作品を集めたら、自然に大好きな色たちで統一されたという。
愛しいものたちに囲まれた空間はいつだって愛に満ち、肩肘張らずに生活を楽しむ術をささやく。
やわらかな光と風を感じるテラス席へ。
食べ盛り男子の強靭な胃袋を自負している私にだって、休日は必要。
だから今日は限りなくファスティングに近いポタージュとスイーツで、栄養と満足感を得よう。
森の妖精みたいなマダムが手作りしたポタージュを。
本日はケールの菜花にケール、カリフローレ、小松菜、ロメインレタス、ほうれん草、玉ネギ、さつまいもや椎茸など、9種類のお野菜をブレンド。
しかし!
いつもメニューに偽りあり~(笑)。八ヶ岳の地の野菜が美味しすぎて、ついつい何種類も追加野菜しちゃうのだとか。
「生でもこんなに美味しいのに、熱を入れてたくさんブレンドしちゃって、それぞれの旨味が喧嘩しないか、試行錯誤しながら作ってるんですよ」とマダムがほほ笑む。
その味わいは驚くほどまろやかで、それぞれの個性が際立ちながらもしっかりと手を取り合い、ひと皿に最高のポタージュとして身を沈めている。
「やっぱりおやつはおやつとして食べたいよね…」。
師範までマクロビを極めつつも、そんなおやつ大好きなマダムが行き着いたのが、こちら。火を一切入れずにつくるロウケーキ。
ココナッツオイルを贅沢に使った、濃度ゆるめケーキは、素材の香りと、甘み・酸味・後味が引き立ち、忙殺された時間の隙間をそっと広げてくれる。
なつめあんのコク深い甘みと、すっきりとフルーティな後味に自然の恵みを感じながら、ロウケーキの素晴らしさに感激。
穏やかで
豊かな
静謐の
美しさの中で、孤独な旅人は思うだろう。
孤独とは物質的な“ひとり”ではなく、「今」を自由に楽しみ、あるがままの自分を受け入れることなんだと。
美味しい余韻をかみしめ、ひとり憩う静かな午後。
やわらかな光に背中を押され、また雑踏の中へと戻っていく。
-北杜市
料理と器とワインをこよなく愛するママ編集者。
性格がおおざっぱなため、お菓子作りは失敗しがち。
最近は酵母菌を我が子のように可愛がっているらしい。