Katsunuma縁側茶房
~愛すべき理由~
〇月×日
とにかく「映え」への貪欲さがすごすぎるJKの我が娘。
“かわい~い!”とか“おしゃれ~!”とかじゃなくて、心に彩りをプラスしてくれる、そんな本当の意味での「映え」を体感させてあげようと、勝沼の茶房へ。
週末だけ開く小さな古民家カフェ。
細い小道を抜け、ぶどう畑の中をぐんぐん上っていくと見えてくる。
「まだ~?」「すごいとこまで来るねぇ」と娘。
ここまで来た意味は、きっとあとになってからわかるだろう。
縁側に腰をかけて、ゆっくりと憩う。
自分だけの秘密の場所にしておきたい…。そう思いながらも、築150年の素敵な隠れ家は思わず誰かに話したくなってしまう、そんな矛盾に満ちている。
ぶどう農家ならではのカフェで飲むなら、やっぱり自家製ぶどうジュース飲みくらべセットかな。
左からサニールージュ・ベリーA・デラウェア。品種ごとの違いを味わえるという何とも贅沢なセット。
美しい色合いのぶどうジュースにテンションの上がった娘。
ガブリと飲んだ第一声「ママ!これ、お酒‼」。
だから~、おいしいぶどうジュースはワインのような芳醇な香りと味わいがするものなのよ…。まるで黒糖を思わせるこっくりとした甘さのベリーA 、貴腐ワインのような深みのあるサニールージュ、デラ特有の心地よい酸味のあとには優しい甘みが畳みかける。
※ちなみに娘の感想は「かりんとうの味がする」など採用できないコメントのため、割愛。
看板メニューは、季節のパフェに、季節限定ぶどうのピザ!
今日は車だからワインは飲めないけど、とりあえずおつまみ2種はオーダー。
生ハムの塩気にジューシーな桃の甘さがプラスされたサラダ。外側をパリッと焼いたパイ生地をコーンの自然な甘みがほんわか包み込むキッシュ。どちらも私の大好物!
こんなおつまみで、ワインが飲めないなんて…(涙)。
娘のお目当てはぶどうのピザ。
生のぶどうと半生ドライフルーツのぶどうを使い、バリエーション豊かな食感と味に心躍る。
濃厚なゴルゴンゾーラが香る、ちょっと大人の味わい。
ピザを食べては、ワインのようにぶどうジュースを飲む娘。これは酒豪になりそうだ…。
締めには桃パフェをシェア。新鮮な桃がゴロゴロ。そしてすもも、アイス、すもものピューレ、コーンフレーク、ゼリーと、底までぎっしりとお楽しみが続く。
いつもなら絶対コーヒーを最後に頼まずにはいられないのに、この日は桃パフェのフィニッシュに大満足してしまった。
娘との久々とのデート。
女同士だからこそ共有できる魅惑の時間。
「映え」もいいけど、古くから脈々と受け継がれる歳月と年輪の中にこそ、「映え」を上回る真の輝きのタネがある。
そのタネはこんなに身近にあったと、娘もいつの日か気づくだろうか。
「このカフェができたきっかけ、なんだと思う?」
この話の続きは…
また、ぶどうパフェを食べに来たときにね。
-甲州市
料理と器とワインをこよなく愛するママ編集者。
性格がおおざっぱなため、お菓子作りは失敗しがち。
最近は酵母菌を我が子のように可愛がっているらしい。