山梨をはじめ、日本の“本物”をセレクトした「ほさか」店主。
手に取るとその違いに驚嘆する、真の宝がいっぱい。
見ているだけでもワクワク楽しくなる、そんな魅力の傳え手であり、伝統の繋ぎ手である彼の熱い思いに迫ります。
HOSAKA KOHKI
保坂浩輝さん
甲府市出身 甲府市在住
日本の匠と美 ほさか 店主
傳え手 繋ぎ手
日本の匠と美、工芸・アートの良品を選び抜いたセレクトショップの真骨頂「ほさか」。
甲府市飯田に店を構え36年、知る人ぞ知る希少な名店です。
自らを「傳え手 繋ぎ手」と名乗る、この店の店主・保坂浩輝さん。
日本の素晴らしさをもっともっと実感してほしいと、時には店から飛び出し、各地へ講演に出かけたり、本を出版するなどの活動も行っています。
保坂さんが人生をかけて伝え続けたいこと、そして知ってほしいこと、感じてほしいこと…。
本物を愛し、使うということの意味。
made in YAMANASHI、made in JAPANにこだわり続ける、その真意をおうかがいしました。
職人技や本物に触れて気づいた価値
1Fはショップ、2Fはギャラリー。
本物を愛する人の隠れた名店を営む保坂さんは、歌人・保坂耕人氏を祖父に、竹造形作家の保坂紀夫氏を父に持ち、芸術一家の長男として生まれ育ちました。
そんな保坂さんでしたが、芸術とは無縁の会社へ就職。しかし、父親の造形活動が忙しくなったことをきっかけに、会社を辞め、店を継ぐことを決めたのです。
「最初から興味があったわけではないんです。でも職人さんを訪ねたり、作品を手にするうちに、どんどん魅せられていって。世界最高の日本の伝統、ものづくり、美術の素晴らしさを、僕を含め、日本人が知らなすぎる!これはもっと伝えていかなければと…」
人は体感したことしか想像できない
「今日のぼく、頭から足の先までMade in JAPANです」と、颯爽とした出で立ちの保坂さん。
「日本の衣料品の自給率、ご存知ですか?なんと9割以上が輸入なんです!
食料自給率がやれ下がっていると問題視されていますが、モノの自給率、これはもう瀕死の状態ですよね」。
最初から何とも衝撃的なお話!
確かに、アパレル業界は中国、ベトナム、インドネシアへの依存度がとんでもない…。
これは、日常を取り巻くモノの世界でも同じ。
「とにかく、偽物が多すぎる。本物は大量生産できないから数が少ない。だから偽物が氾濫して、その情報がまことしやかになってしまう」。
保坂さんの願いは、日本の職人・作家の社会的な地位、収入の向上を図って、今日まで続いてきた伝統や高い技術を守り、後継者が増えること。
「本物の素晴らしさをどんなに言葉で伝えても、それは手にとって実感してみないとわからない。人は体感したことしか正しく想像できない。
だからお店に足を運んでほしいんです」。
まずは知ってください
一体、本物とは何なのか…?
新品の漆器のお椀と、普段保坂さんが使っているお椀を見せていただきました。
どちらもまったく同じ商品。使い込んだ漆器は美しくつややかに輝き、まるで新品のよう。
「漆器ははげる、扱いが難しい、もったいないからしまっておく。みんなそう言います。
でも本当は真逆。漆器ははげず、特別なお手入れは不要、使わないともったいない。
偽物の漆器を使うから、はげるんです」。
毎日使うものだからこそ、よいものを。
本物、よいものを永く大切に使えば、結果それは決して高い買い物にならないのでしょう。
「日本の物作りのレベルは高い。素晴らしい技術や良い商品があるのに知られていない、使われていないのはもったいないですよね」。
考え方で暮らしが変わる。
本物との出会いが暮らしを変える。
「真の本物とそうでないものの差は体感してみないとわからない。
本物が自分自身の人生を良い方向に導き、人生が大きく変わり、
毎日が幸せになりました」。
世界に誇れる県産の逸品
山梨県産のヒノキの間伐材を使った枕がありました。
普通の木のチップとは違い、カールしていることで最高の寝心地を約束。さらに、綿ではなく、吸湿性・放資性に優れた麻のわたを混ぜて、快適さをアップしたほぼ100%自然素材の「究極の枕」です。
そしてもうひとつ。
市川大門の和火師・佐々木厳さんが作る本物の線香花火。
「まさかここまでやっているとは、想像を絶した」と保坂さんが驚嘆した、佐々木さんの材料集めから製作工程にいたるまでの作業と線香花火にかける思い。
現在流通しているものは99%が外国製で、すぐに落ちてしまう偽物。
佐々木さんのこだわりぬいた逸品は、希少な日本製の中でも群を抜いています。
「昔の日本人の凄さや素晴らしい知恵や工夫、その奥深さを知ることができました。本物の線香花火の美しさ、日本のわびさび…この感動は手にしなければわかりません」。
こんなに素晴らしい、世界に誇れる名品がこの山梨で生まれ、作り続けられていることに感動をおぼえ、同時にとても誇らしくなりました。
本物は使うこと自体を楽しくする
まだまだ数え切れないほどの本物が…。
重厚感のある桐のテーブルと椅子は驚くほど軽く、ほんのり温かくて座り心地抜群。家具のイメージを覆す革命的な家具です。
薄い、のレベルをはるかに超えた透明感のある美しい水うちわ。
履いていることを忘れるくらい軽くてあたたかいブーツ。
「本物を使うと、本物に囲まれると毎日が楽しくなる。本物は使うこと自体が楽しいのです。
感動する包丁は料理を楽しく、魔法のほうきは掃除を楽しく、本物の漆器を使うと器を洗うのが楽しくなる。本物は人を感動させます。毎日が楽しくなって感動したら幸せですよね。だから私はとても幸せです」。
宝は足元にある
日本は宝の山。
山梨は宝の山。
「宝は足元にある」
私たちはすぐそこにある宝の山に気づいていないだけかもしれません。
きっかけは自分で作るもの。
「とにかく知ってください!」
炭火ナチュラルだいにんぐ ぐらがら
ぐらがらさんは、全国でも珍しいオーガニックの居酒屋さんです。店主の司波さんの取り組みが素晴らしく、あらゆる食材・飲み物にこだわっています。無農薬・無肥料、自然栽培の野菜など、地産地消で安全な美味しいお料理をいただけるので、お気に入りのお店です。
日本の匠と美 ほさか
TEL: 055-222-3204
住所 山梨県甲府市飯田5-17-41
※夏季は「保坂紀夫 竹の造形美術館」にて営業
http://www.bambooart.jp/
Ivent&information
2017年12月に『「八方良し」を目指して』を出版。
春光堂書店、朗月堂、ひまわり市場、ほさかにて販売中。
日本の匠と美ほさか 2階ギャラリーにてイベント開催。
2018年9月21日(金)~27日(木)
「第13回 伝統の技と現代家具展」
2018年10月12日(金)~20日(土)
「第9回 魔法の箒展」
2018年11月7日(水)~11日(日)
「第10回タンニンなめし革のバッグ展」